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月夜の欠片

第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後


「額だけか?他にぶつけた所はないな?」

「……はい。お手間をとらせてしまいまして申し訳ございません」

シュンと項垂れるの姿を久方ぶりに見た杏寿郎は、苦笑を漏らして頬をそっと撫で静かに言い聞かせる。

「君はもう普通の女子なのだから気を付けなさい。に痛い思いはしてほしくないんだ、分かったか?」

体をキュッと縮こませて小さく頷いたので理解したのは伝わったものの、何故か先ほどから……この部屋に入ってから杏寿郎と目を合わせようとしない。
薬を塗っている時も視線をさ迷わせて赤面するばかりで、嫌でも嫁たちと何の会話をしていたのかが気になってしまう。
それでも無理に聞くことは気が引けるので、自分の素直な気持ちをホロリと零した。

「目を合わせて貰えないと寂しいものだな」

小さな呟きであってもにとっては衝撃の大きな言葉だったようで、勢いよく顔を上げて杏寿郎の目を見つめ……顔を真っ赤にしながら胸の中に飛び込んで行った。

「すみません!実は奥様方に……夜の……その……殿方と言いますか、杏寿郎君に気持ちよくなっていただく術を……教えていただいておりまして。それを私が杏寿郎君にしている姿を想像すると恥ずかしくて……」
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