第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
何がどうなって愛でられているのか分からずはキョトンとされるがまま……それでも嬉しそうに笑顔を絶やさず立ち尽くしている。
「はい!2本飲んでもいいか杏寿郎君に確認してみます!」
……時間が止まった。
2本……たった2本のラムネを飲むために杏寿郎に確認するなど、あの屋敷での過酷な生活を彷彿させられ僅かに3人の表情が翳った。
それでもや杏寿郎が穏やかな生活の中で、ささやかな幸せを噛み締めて生きているのだと思うと徐々に笑顔が戻っていく。
「そのような可愛らしい確認をされては、煉獄さんは喜んで沢山のラムネを取りに行くでしょうね」
「それだけ可愛がられていて、まだ手を出されてないんでしょ?すごく大切にされてるよねー!ねぇ!どこまで……ぎゃっ!まきをさんがぶった!見ました?!」
「あんた馬鹿じゃないの?聞いていいことと悪いことあるでしょ!」
穏やかに会話をしていたはずなのに、何やら雲行きが怪しくなってきてしまった。
そんな2人の様子を雛鶴と眺めながら、は少し顔を赤く染めて手をキュッと握り締め……3人へ視線を巡らせる。
「どうしたの?何か聞きたいことがあるのかしら?」