第3章 第4章 鍛錬と最終選別 243ページ付近
「そ、それで兄上を捕まえることは叶ったのですか?」
これに関しては手段がどうあれ全力手放して千寿郎も応援していたので気になり問い掛けると、その表情を見るだけで答えを聞かずとも理解出来た。
の表情が本当に嬉しそうに綻んだからだ。
「はい!杏寿郎さんには少し呆れられてしまいましたが、無事に合格をいただきました!そのお風呂の中での出来事でご相談なのです。浴槽内で杏寿郎さんが抱き寄せてくださいまして……そこから体の火照りと速くなった鼓動がおさまらなくて。これは何でしょう?」
……千寿郎の全てが停止した。
もちろんが課題を突破したことは千寿郎としても喜ばしい事である。
だがその喜ばしい気持ちを遥かに凌駕するの相談話に冷や汗タラタラだ。
(兄上!!これは僕が知ってもよかった事なのですか?!……うーん、でも本気で悩んでいるみたいだし。どうしよう?)
縋るような視線を真っ向から受けている千寿郎はこの際兄の行動はさて置き、悩める少女へ間接的にそれは思慕の念であると伝えようと決心した。
「僕はまだそう言ったことを経験したことがないので参考になるか分かりませんが、さんは兄上の事が好きですよね?」