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月夜の欠片

第3章 第4章 鍛錬と最終選別 243ページ付近


相談に乗ってもらうせめてもの礼としては茶を入れて、居心地悪そうに卓袱台の前に座る千寿郎へと勧めた。

「気を遣わせてしまってすみません……えっと、それで僕に相談と言うのは?」

隣りに腰を下ろしているに問うと、何となく言いにくそうに言い淀んでいる様子に首を傾げる。
しかし問い詰めるなど優しい千寿郎に出来るはずもなく、静かにの心の準備が整うまで見守ることにしたようだ。

「えっと……私、先ほど杏寿郎さんを捕まえるためにお風呂に飛び込んで行ったのですが」

「んぐっ……!!え?!兄上が入ってるところに飛び込んで行ったんですか?!」

喉に流し込みかけていた茶が嚥下されることを拒むように喉に留まり、危うく千寿郎は吐き出してしまいそうになった。
それをどうにか喉の奥へ流し込み、のトンデモ行動を復唱した。

「はい。ご当主様に助言頂きまして……はしたないとは思ったのですが、何分残された時間が残り僅かでしたので、叱られるのを覚悟で」

(父上!こんなに素直で深窓の姫君のように常識が曖昧な女性になんてことを……兄上の慌てぶりが目に浮かびます)

軽く目眩を覚えながら千寿郎は小さく息をつく。
きっとその行動自体の相談ではない……ほんの少しの嫌な予感を頭に過ぎらせつつに向き直った。
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