第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
恥ずかしいのは恥ずかしいのだろう、頬は薄紅色に染まったまま。
それでも本心から言っているのだと伝わる柔らかなの笑みに、言われた言葉に驚き目を見張っていた杏寿郎の表情もつられるように柔らかなものとなった。
「ありがとう、では頼む。だが俺が果てる時は顔を離して…… ?聞いているか?」
柔らかな笑みを浮かべたまま視線が横へと移動している。
元々は杏寿郎に願われれば素直にそれに従う。
それなのに今のはまるで聞こえていないと言うようにそっぽを向いてしまい、杏寿郎に止められる前に上げていた顔をそろそろと元の位置へ戻して口に含んだ。
「っーー、1度止まってくれ。ん……本当に果ててしまう。このままだと……」
言葉を続けたいのにそれを遮るようにの動きが本格的に杏寿郎を果てさせようとするものへと代わり、焦りと共に快楽が押し寄せてきて全身が熱を帯び震える。
(どうにか止めなくては……本当にマズい)
朦朧とする頭を必死に働かせ咄嗟に思い付いた頭を手で押える……というものを実行するために動き出すと、それを予測していたかのようには指をモノに這わせながら、顔を僅かに離して杏寿郎を見つめて言葉を紡いだ。