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月夜の欠片

第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後


その目は昨夜現れたお狐様と少し似ており、気持ち的にあの時の感覚で片腕で抱き寄せながら艶やかな髪をさらりと梳いた。

「今日はが頑張ってくれるとの事だが、俺はどうしようか?このままだと俺の我慢が効かず襲ってしまいそうだぞ?」

髪から頬へと手を移動させると心地好さそうに目を細めて顔を擦り寄せて来るものだから、やはりお狐様を彷彿させると共にトロンと潤む瞳は杏寿郎の体や脳に熱を巡らせる。

それに気付かずは軽く触れるだけの口付けを自ら行ってから、雰囲気などどこ吹く風か……トロンとしていた瞳をキリリと引き締めて頬に当てがわれた手をギュッと握った。

「そのまま座っていてください。あの、聞きかじった程度の初心者も初心者ですので、痛かったり不快だったら仰って下さいね!」

何をしようとしているのか……聞いていないので杏寿郎も分からないが、いやに気合いの入った声音や表情が今からの行為に伴っていないように思え、この場に似つかわしくない笑顔が零れた。

「アハハッ、分かった!何をするのか分からんが君も辛くなれば俺に気を遣わず止めて構わない。無理だけはしないでくれ」

「は、はい!でも大丈夫だと思います!愛する人の為なら頑張れるよって奥様方が教えてくださいました。だから……少し私に身を委ねて下さいね」
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