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君想う

第3章 しとしと雨降る


実弥は頭の痛みで目を覚ます

「あ"ーくそ、頭いてぇぇ」
「んぅぅん」
「?」

目を開けると目の前にちひろの眠る姿があった
実弥の頭は追いつかない

「(待て待て待て!落ち着け俺!)」

布団に潜り必死に確認する

「(よし、服は乱れてない)」

布団を目の下までずらしもう一度隣を見る

ちひろと目が合った

「お、おはよ」
「おはよぉ」
「実弥、覚えてる?」
「な、なにを」
「覚えてないならいいや」

むくりと起き上がるちひろ
焦る実弥

「待て!何を覚えてないんだ俺は!!」
「ん?昨晩のこと。実弥重いんだもん」
「(だから何だよ!!)」

心で叫ぶがちひろの様子も特に変わりがないので過ちは犯していないと悟った

「朝ごはん食べよっか」
「いや、俺はちょっと」
「二日酔い?」
「そうみてぇだ」

響く頭を押さえ実弥は頷く
パタパタとちひろは部屋から出て行った
そして暫くするとお椀を持って戻ってきた

「昨日タクシー途中で止めてコンビニで買っておいたんだ」

インスタントの味噌汁
「きっと実弥二日酔いだと思うから」とお箸と汁椀を実弥に渡す

「すまねぇ」

そっと味噌汁を啜るとじわぁと温かくなる

「今日仕事は?」
「夕方からだよ」
「一回家帰るか?」
「んーシャワー借りていいなら帰らなくてもよさそうだなぁ」

「いい?」と聞けば実弥も「好きにしろ」と返事をする

「じゃ借りまーす。タオル適当に借りるねぇ」
「おぉ...」

実弥は味噌汁を飲み干すと重い体を立ち上がらせ台所に向かう

「兄貴おはよ」
「おはよぉ」
「なんでちひろいんの?」
「いや、昨日俺酔い潰れて送ってもらったんだけどよぉ」
「え?まさか...」
「やってねぇよ!」
「だよねー」

笑う玄弥と赤らむ実弥
そこに脱衣所から顔だけだすちひろが声をあげる

「ねぇーなんかTシャツとか洋服借りていー?」

下着姿なのか裸なのか
肩がチラリと見えるのに2人でゴクリと息を飲む

「あ、後で持ってくるわ」

それだけ聞くと「わかったー」と浴室へと戻って行った

「兄貴...俺ら絶対男として見られてねぇよな」
「たぶんなぁ」

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