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君想う

第3章 しとしと雨降る


「じゃぁやっぱりストレートに好きだって言っちまえよ」
「それが出来たら今まで苦労してないって」
「確かになぁ」

カランカラン

「いらっしゃい」
「こんばんわー」

そこに現れたちひろ

「宇髄さん何してるんですか?」

宇髄は実弥にシャドーを繰り広げていたのだ

「いや、ちょっと昨日あったボクシングに影響されてなぁ」
「似合わないですよ」
「だよな〜」

ピタリとシャドーを辞めてビールを注ぐ

「ビール」
「あいよ」

ちひろは何も言わずに実弥の隣に座った
実弥は一瞬うろたえるがグビッと残っていたウイスキーを飲み干した


「あれ?実弥ウイスキーなんて珍しいね」
「まぁな」
「ふーん」

両手でビールジョッキを持ちグビグビと冷たいビールを喉に流し込む

「今日ね合コン行ってきたんだけど」
「ご、合コン!?」

ちひろの口から出た言葉に実弥は驚いた

「おー結果は?」
「だめー」

両手で大きくバツを作り残念そうにする

「連絡先聞かれたけど、タイプじゃなかったし断った」
「つーかちひろのタイプってどんなんなわけ?」

宇髄は聞く
ちひろはうーんと悩みながら「そうだなぁ」と一つ一つ丁寧に説明しだした

「まぁまずイケメン!」
「面食いかよ」
「同じ年か年上」
「うんうん」
「ちゃんとした仕事をしてる人」
「ほぉー」
「それから優しくて常識あるひと」
「それから?」
「私を甘やかしてくれるひと」
「お?」
「えーとねぇ、それから私を大事にしてくれる人、かな?」

宇髄は「隣にいるじゃねぇか」と言いたくなるのを堪える

「そんな都合のいい男なかなかいないよね〜」
「いや、いると思うぜ」
「うそ!知ってるの?」
「知ってるけど、ちひろもよーく知ってるやつ」
「うっそ!?なんで気付かないかなー!誰だろ!!」

スマホを手に連絡先を確認してみるが見当たらない

「誰よー」
「俺からは言えねぇなぁ」
「なにそれ」

宇髄はちひろの鈍さに呆れて実弥を見る
実弥も「だめだろ?」と相槌をうつ
その間の「うーん」と唸りながら考えるちひろが愛おしく思えるのは好きになってしまったせいだろうか

「まぁ焦んなくていいだろぉ」

優しく頭を撫でてやる
その行為にまたホワホワとするちひろだった
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