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君想う

第3章 しとしと雨降る


この時期でも定食屋は忙しい

それもビルが立ち並ぶ中に昔からある定食屋で
会社員など仕事中の人たちがやってくるからだ

あれから功とは至って普通に接している
功からのアプローチはぼちぼちと続いていたが
それをかわす術も身につけてきた

変わった事と言えば実弥に対しての気持ちがおかしいことだ

実弥と会えば顔を直視できない
でも、一緒にいればぽかぽかと温かい気持ちになる
不思議な気分だった
こんな微妙な気持ちで家に行けるはずもなく
梅雨に入ってからは一回も行っていなかった

そんな実弥は自分が避けられていると思ってた

「はぁ...」

職員室で小テストの丸つけをする実弥は小さく溜息を吐いた

「なんだ不死川!元気がないな!!」
「煉獄か」

顔を見なくてもその声量でわかるこの人は煉獄杏寿郎
歴史を担当する教師だ

「まぁこの時期はなぁ...」
「生徒たちとサッカーもできんな!」
「別にやりたいわけじゃねぇよ」
「どうした!悩みなら吐き出せ!」
「声のでけぇ奴に悩み吐き出したら皆んなに筒抜けだろぉな」
「はっはっはっ!!!」

つかれる...
実弥は雨の鬱陶しさと煉獄の声量にどっと疲れてしまった

「あに、じゃなかった不死川先生!」
「おぉなんだ玄弥」
「進路の紙持ってきました」

ピラっと出した進路希望書にはOO専門学校と書かれていた

「進学すんのか」
「やりたいこと勉強してから就職しようと思って」
「いいんじゃねぇの」

弟玄弥が進学を希望してくれたことが専門学校だろうと嬉しかった

「頑張れよぉ」
「はい!」


その日実弥は久しぶりに宇髄のバーに寄った

「先輩久しぶりです」
「おー本当だなぁ!」
「今日は?」
「いねぇよ」

ちひろの姿は見えなかった
やっぱり避けられているのか
内心凹む実弥の様子にニヤつく宇髄

「なんだぁ?ちひろいなくて寂しいのか?」
「んなわけないですよ」
「じゃ誰か紹介してやろぉか!」
「いや...それはちょっと」

宇髄は度々実弥に女性を紹介してきたが、好意を持たれてもそれに返す事ができないと申し訳なく思っていた

「まぁだ上手くいかねぇの?」
「弱ーくパンチ繰り出してんすけどねぇ」
「あいつ相手じゃみぞおち目掛けてじゃねぇと無理じゃね?」
「いやあいつ俺のこと幼馴染としか見てないんすよ。男としてなんてめっきり」
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