第1章 世界で一番幸せ【リヴァイ】
執務室の机に向かって、リヴァイは手元の便箋を二度読み返した。
ユズアがリヴァイに宛てた遺書に、特別なことは書かれていなかった。
リヴァイの部下に抜擢されて光栄だったこと。
リヴァイの下で多くを学んだこと。
人類のために身を捧げて悔いはないこと。
力及ばず先立ってしまうことへの謝罪。
そして調査兵団の、人類の勝利を信じていること。
兵士として模範的とも言える言葉に、リヴァイはため息をつく。
ユズアの遺書を読むのはひどく勇気が必要だった。
何度も封を切るのをためらった後、ようやく今、目を通したのだ。
一体自分は何を期待し、何を恐れていたのだろう?
それは幾度となく受け取った、早逝した部下たちの手紙と何ら変わることはなかった。
丁寧な文字で書かれた手紙は、こう締めくくられていた。
『わたし、ユズア・ティファートは、本当に幸せでした』