第1章 夢で会ったキミへ
紅色の瞳に胸が大きく高鳴る。
勢いがついたまま彼の腕に飛び込み、二人で倒れ込んだ。
「──ッ!?嘘、だろ……"…?"」
私の名前を口にする彼の声で見上げれば、泣き出しそうな瞳がゆらゆらと揺れ動いていた。
そして確信する。
私はやっぱり…この人をずっと昔から知っている。
でも、それが一体いつなのか
どこなのか…大切な事が思い出せない。
『"銀時"… ッ 』
唯一覚えているのは
坂田 銀時
彼の名前…それだけだった。
懐かしい声も、表情も、匂いも
全部覚えてるのに。
なんで…なんで…思い出せないの。
『っ…やっと、会えた…のにッ』
どーして…
鼻奥がツンとして、目頭が熱くなる。
今にも堰を切って溢れ出しそうな涙を隠す為に俯くと、重力に逆らえずポタリと彼のズボンに染みを作った。
思い出せないのってこんなにも
苦しいんだ
「…泣くなよ」
苦しそうな声が聞こえたと同時に力強く肩を引かれた。大きな手のひらが、私の頭を押さえ込むように"銀時"の胸に抱きすくめられる。
「守ってやれなくて…ごめん。ごめんな…」
震えた声が近くで聞こえる。
それは何かを必死に堪えてるような…苦しそうな、辛そうな声で。
『……ッ ちが、うっ』
違う…違うよ銀時
謝ってほしいなんて思ってない
むしろ謝らないといけないのは私だよ
『ッ ご、めん…ね』
思い出せなくてごめんね
ごめんね…銀時。