マヨネーズから油を抜いたらどうなりますか(土方夢)
第1章 仮の居場所
「んで?ホントにデートじゃねーの?」
「じゃねェ。たまたまだ、たまたま」
「ふーん。んじゃ、。銀さんとデートしねぇ?」
「はァ!?」
土方の機嫌は地を這うくらい低くなり、目の前の銀時を睨みつけている。
「ジャンジャンバリバリ玉が出てくるところとか、男同志でも入れる大人の遊園地とかどう?」
「……てめェの選択肢にホッとさせられる日が来るとは思わなかったぜ。却下だ。はこれから俺と市中見回りだ」
土方がを見ると、注意しないとわからないくらい僅かにが頷いた。
「も物好きだねー。…ま。マヨネーズに飽きて糖分が欲しくなった時ゃ、いつでも声かけてくれや」
ズズズっと最後の一滴までパフェを飲み干すと、銀時は席を立った。その銀時の首根っこを土方がむんずと掴んだ。
「待てやゴラァ。何さりげなく無銭飲食して立ち去ろうとしてんだ」
「現職の前で罪を犯すなんて愚か者かバカしかいないですよ」
「も言うねー…」
観念した銀時は懐から財布を取り出して、自分の分の代金をテーブルに置いた。
「成就の暁にゃうめー酒でも期待してるぜ。んじゃーな」
前半は土方に囁くように、最後はにも聞こえるように口にして、銀時は店を出ていった。
土方はガシガシと後頭部を掻く。
「じゃ、俺たちも食っちまおうか」
「はい」
銀時がいなくなってから、土方とは四人席に男同志で並んで腰かけている事に気まずさを覚え、言葉が少なくなっていた。