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マヨネーズから油を抜いたらどうなりますか(土方夢)

第1章 仮の居場所


 
 傍から見れば、手を重ねて見つめ合う男同志に見える。殺気にも似た怒気をから向けられても、銀時のニヤついた表情は変わらない。
 
「副長は逢い引きなんてしない」
「そこ?いや、アイツもタダの男だからね?」
「副長は『ピーー』もしないし、『ピーーー』もしない!」
「いや、どんだけ神聖化!?ってか、そんな可愛い顔して過激な事言われたら俺も目覚めそうなんですけど!?」
「……てめェらなんつー話しを大声でしてんだ…」
 
 ヒートアップしたの耳に届く低い声。
 
「あららー?ウワサをすれば影ってやつ?」
「いつまで握ってやがる」
 
 土方は茶化す銀時の手を下からはね飛ばすと、の隣にどすんと座り、「コーヒーひとつ」とすかさず注文までしてのけた。
 
「ふーん。私服ねぇ?」
「何が言いたい」
「べっつにィ?」
 
 頬杖をつき、ニヤニヤしながらスプーンでパフェをグチャグチャとかき混ぜる銀時。それを引いたように見つめていたの前にも「お待たせいたしました」とパフェが置かれ、土方にもコーヒーが置かれた。
 
「副長、今日は何を…」
「ん?」
 
 の言葉に反応しながらも、土方は持参したマヨネーズをブチャブチャと音を出しながらウィンナーコーヒーのように入れていく。
 入れた瞬間から重たいマヨネーズはカップの底に沈み、コーヒーは溢れそうになった。
 
「うわー引くわー。、どっかのマヨネーズと結婚すると作ったもん全部にマヨネーズかけられんだってよ。味付け台無しにされるとか離婚原因にもなるらしいしさ。離婚前提の結婚なんて銀さん反対だなー」
「どっかの糖尿病一歩手前の野郎も結婚相手に苦労かける前に糖分断ちする事薦めるぜっつか、どのマヨネーズも人間と結婚できねェよ」
「……」
 
 男二人の前に置かれているドロっとした原型の分からない液体を視界に入れることなく、は黙々と自分のパフェを食べ進める。
 そんなを見て、いがみ合っていた二人は大人しく尻を座面に落ち着かせる。
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