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マヨネーズから油を抜いたらどうなりますか(土方夢)

第1章 仮の居場所


休暇

 
 任務の後の休暇はいつもより長く、は暇を持て余していた。一日目は愛刀の手入れをし、二日目も訓練をしたりとなんだかんだで時間が潰せた。
 だが、休暇三日目。いつも通りに起床してみたは良いが訓練以外何も思い付かず、布団を畳んだ後に床に寝転んでみた。天井のシミを見つめながらはポツリと呟く。
 
「……休みなんていらないな……」
 
 いつも通り男物の着物に袖を通す。
 自室にいても襟が広がって晒が見えたりしないように、見えない所に安全ピンでとめるのも忘れない。
 自室に閉じこもり続けるのも、寝て過ごすのも性にあわず、は見回りも兼ねて街へ繰り出すことにした。
 
 
     ✱✱✱✱✱✱✱
 
 
 通りを歩くと新装開店の店が目についた。少しだけ景気が上向きなのか。街の通りにも人出があり活気がある。
 その中でも前からあるパーラーには吸い込まるように入っていった。
 
「チョコバナナパフェひとつください」
 
 おひとり様なのに窓際の四人席に通され、注文を終えたはぼんやりと街を歩く人の流れを見る。知っている人も歩いているのかもしれないが、人の流れだけを見ているので手を振られたとしても気付かない。
 そんなは目の前に誰かが座るのに気付いていても気にもしなかった。
 
「野郎が一人で甘味処たァ寂しいねー」
 
 話しかけられて仕方なく相手に視線を向ける。一番最初に目に入るもじゃもじゃ頭「え、最初に見るのそこ?イケメンなこの顔じゃなくて?」。胡乱げな表情を浮かべる銀時だった。
 
「相席の許可はしてませんが」
「つれない事言うなって。俺との仲じゃないの」
「どんな仲でもないです」
 
 銀時の方が先に来ていたようで、先にパフェが銀時の前に置かれる。
 
「まさかが甘味食べる時にぼっちだとは思わなかったわ。モテそうな顔してんのによぉ。それとも」

 食べる前のピカピカのスプーンの先をに突きつけて、銀時がニヤッと笑う。
 
「マヨ野郎と逢い引きの約束でもしてんの?」

 咄嗟に水の入ったコップを掴んだの手を、銀時が素早く抑える。
 
「無表情に見えて結構激情家タイプ?」
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