第1章 恋心が掻き立てられる。
キミの前でだけ、僕は特級呪術師の仮面を取り払って野獣の本性を晒してしまうんだ。
僕は女の子達の憧れの的だけど呪術師仲間には手を出さない。
責任とか生じたらめんどくさいし?
ヤった後任務で顔合わせると気まずいし?
性欲解消としてはもっぱら出会いアプリで女の子を釣る。
僕の写真ならすんなり直接会うところまでいける。
で、ちょっと話せば女の子は大抵頬を染めてその日のうちにホテルについてきてくれる。
だけどヤった後に本気で惚れられるのが面倒で、そこだけ解決できれば出会いアプリも最高なんだけどなぁ。
今日会う予定の女の子は写真を見る限り清楚系だ。
一回のデートでホテルまで連れ込めるかなぁ。
もしかしたらニ回かかるかもしれない。
二回でできなかったらやっぱり面倒だなぁ。
あの子か。うつむいてるけど。
「はじめまして、ちゃん?」
写真よりかわい……。
「はい、はじめまして。っていいます」
世界が生まれ変わった。色褪せてたのにめちゃめちゃ鮮やかに世界が染まっていく。
かわいいなんてもんじゃない。
天使……。
俺はどうやらこの女の子に一目惚れをしてしまったらしい。
「私出会いアプリって初めてでよくわからなくて失礼があったら申し訳ないです」
あどけない顔して俺を見上げるその目に今までにない恋心が掻き立てられる。
「僕も全然慣れてないからさ。
何も気にしなくていいよ。
まずはカフェでもいこうか」
こんな気持ちは初めてだ。
カフェでコロコロ変わる女の子の表情を眺めながらぼんやり思う。
この子が笑えば笑顔独り占めしたくなるし、ちょっと浮かない表情するとその理由を知って原因を取りのぞあてあげたくなる。
俺は今まで本気で人を好きになったことがなかったのかもしれない。
理屈じゃないが俺は本気でこの子が好きでこの子の笑顔を守り続けたい。
そう願った。
そして二回目のデートで断られる気がしなかった僕はストレートに告った。
「好きだちゃん。
僕と付き合ってくれないか」
「私も好きです。
よろしくお願いします、五条さん」
鮮やかに染まった世界がまた新しい色を見せた。
これでこの子の笑顔も涙も俺だけのもの。