第20章 ホワイトデー
真っ赤な顔をして、可愛い袋を渡してきた。
「うちに?」
「はい!ホワイトデーなので、俺からのお返しです・・・」
「ありがとう・・・」
貰えると思ってなかったから嬉しくて少し泣きそうになるのを笑って誤魔化した。
「あと・・・」
ずっと見えないように隠してた手を差し出してきた。
百が手に持っていたのは、ガーベラとかすみ草の小さな花束だった。
「小さくてごめんなさい」
百は申し訳なさそうに謝ってくる...
「そんなことないよ。ガーベラ好きだから嬉しい!」
笑顔で答えると、百は照れてさらに顔を赤くした。
そんな百を見てたら、今まで避けられてたのとかどうでもよくなった。
ただ嬉しくて、自然と涙が出てくる。
「七桜さん、ごめんなさいっ」
百は訳が分からずアタフタして謝ってくる。
「泣かないでください・・・俺、泣かせたかったわけじゃなくて、その、七桜さんをハッピーにしてあげたかったんです」
優しい声でそう言うと、遠慮がちに指で涙をぬぐった。
「ごめん。百が悪いとかじゃないの・・・ただ、嬉しくて。ずっと話せてなかったし、避けられてたし、嫌われちゃったかなって思ってたから・・・」
「そんなことあるわけないです!ごめんなさい・・・俺、あれから恥ずかしくて・・・避けるつもりはなかったんです!でも、近くにいると、き、緊張しちゃって・・・泣かせてごめんなさい!」
「緊張してただけか・・・百だけ違うのあげたの嫌だったのかと思って。それで嫌われたと思った・・・」
涙も止まり気持ちも落ち着いてきた。
「嫌とかとんでもないです!むしろ俺なんかが貰っていいのかって思ってました。凄く美味しかったです!売ってるやつみたいでしたし」
(やっぱり、俺のだけ違うやつだったんだっ!)
「喜んでもらえたならよかった・・・」
「七桜さんから直接もらえるなんて、めちゃくちゃハッピーで浮かれちゃいましたよ!恥ずかしさもありましたけど・・・」
百は喜んでくれてた...よかった。
「だから、その・・・えっと、これは俺からの気持ちなので七桜さんが受け取ってくれて嬉しいです・・・」
また顔を真っ赤にして話す。
百の顔はどこまで赤くなるのだろう...
こうして、また百と話せるようになったから嬉しい。
百もそう思ってくれたらいいな。