第20章 ホワイトデー
「正直、百からはホワイトデー貰えないと思ってたんだ。こう言ったらお返し欲しいって言ってるように聞こえるけど・・・」
「いえ、バレンタインに貰ったらお返しするのは当然です!」
「貰えないってちょっと落ち込んでたんだ・・・だから、もらえて嬉しかったよ」
「色々ごめんなさい!もう避けるようなことはしないので。渡すまで緊張して、話せないって思って・・・」
そうだったんだ...
「なら、今度からはいつも通り?」
「は、はい!もちろんです!」
「よかった・・・これ、中見てもいい?」
「はい・・・何か目の前で見られるのって恥ずかしいですね・・・」
百はそう言うけど、中を見たくてしょうがなかった。
中に入ってたのは、可愛い瓶に入った金平糖とギターを持った小さめのテディーベアのキーホルダー。
「可愛い・・・ありがとう!」
「へへ、良かったです!これなら学校の鞄とかギターケースにも着けられるかと思って」
ギター持ってるからギターに付けるのもいいけど、学校の鞄でもいいな。
「お時間とらせてしまってすみません!遅いと親御さん心配しますよね。家まで送りますから!」
「もう近いから大丈夫だよ?」
「何があるかわかりませんから!」
それもあるけど、少しでも長く一緒にいたいと思った。
家までの道、歩きながら色んな話をした。
何をあげようかすごく悩んだこと、姉ちゃんの事。
七桜さんのお父さんや家族、お世話になってる叔父さんの事。
七桜さんには歳が離れた弟がいると初めて知った。
お父さんも音楽をしてて、七桜さんがRe:valeに入る前はお父さんと仲間と一緒にバンドしたり、路上で音楽してたこと、Re:valeに入る事になった経緯まで教えてくれた。
バンさんとユキさんは七桜さんの家族と仲良くて、お父さんの言うことは絶対で逆らえないらしい...
過保護でうるさいって七桜さんは言うけど、こんなに可愛い娘ならそうなっても納得できる。
「送ってくれてありがとう。百も気を付けて帰ってね」
「はい。おやすみなさい」
きちんと家まで送り届けた。
七桜さんの昔のこととか色々知れて少し距離が近づけた気がして嬉しかった。
一緒に帰れて、ホワイトデーも喜んでもらえて浮かれモード全開で俺は家まで帰った。