第25章 Re:valeの今後
「バンさんがいなくなった理由って?」
「少し前にね、ちょっと強引な人にスカウトされたんだけど、その人は千とうちに個人でやらないかって声かけてきたの。もちろん断ったよ」
あの人は異常で怖い人だ...執着心があって、弱みにつけ込む...
そんな人を連れて万のところに来るなんて...
いくら傷痕、綺麗に治してくれるからってあの人のところでデビューしようなんて...
「そんな・・・」
話しを聞いた百は辛そうな顔をした。
「万は、ずっと千が千らしく歌える場所を探してた。自分のせいで、自分らしくいられない場所で歌わせたくなかったの。千も弱ってたから話しにのっちゃったんだと思う。それで、万は自分がいたら千が犠牲になると思ったんだよ」
「バンさん・・・」
「千も今は後悔してると思う。うちは何もしてあげられなかったから情けないよ」
千が思い詰めてるの知ってたはずなのに、何もできなかったもんね...
「そんなこと言わないでください。ユキさんもバンさんも、絶対、七桜さんが目を覚ましてくれて、元気になってくれて良かったと思ってるはずです!俺でもそう思ってるんだから、2人はもっと思ってますよ!」
「ありがとう、そう言ってくれて」
「本心ですよ?」
今日はもう遅いから、また明日作戦考えようと言ってきた。
突然来てすみませんと元気そうで安心したと言って帰って行った。
久しぶりに会った百は、ちょっと頼もしく思えた。
泣いたり、涙もろいのは変わってないけど、それも可愛い。
万がいなくなった寂しさも、お陰で少し癒やされたな。
次の日、百や約束通りにやって来た。
「おはようございます!」
「百、おはよう!朝から元気だね。百が来てくれて退屈しなくなるなぁ」
「本当ですか?良かった。七桜さんはいつ頃退院できそうなんですか?怪我が酷いからまだまだでしょうか」
「頭の方は問題ないって言われたけど・・・うちも傷痕は残るんだって。手術で綺麗にする方法もあるから、たぶんそうするんじゃないかな。骨折は骨がくっつくの待つだけだから、そんな長くはないんじゃないかな?あと2ヶ月とか?」
「俺が七桜さんの左手になりますから、いつでも頼ってください!」
「何それ?」
2人で笑い合った。
百には万の家とわかる範囲で千が行きそうな場所を教えた。