第24章 万の失踪
「個人事務所やろうと思ってるらしいぞ」
「そうなんだ。実はね、スカウト受けてた事務所あったんだけど、今回の怪我で白紙になっちゃって・・・でも、ライブ再開したらまた見に来てもらえることになったの」
「凄いじゃん。どこの事務所?」
「岡崎事務所ってとこ。最近出来たばっかりで、兄が社長してるって言ってたから若い人かも」
「岡崎?もしかして、凛太郎のとこか?来た奴、弟の凛人だろ?」
「知ってるの?」
「あぁ、知り合いの息子だよ。変な事務所じゃなければ話し合って決めればいい。音晴のとこでも岡崎でもな」
「うん・・・」
岡崎はお父さんに知り合いなのか...
「ほら、飯来たぞ。ちゃんと食って、早く元気出せ。プリン買ってきたから、飯食った後で一緒に食うか」
「うん」
お父さんとこうして話すのは久しぶりだな。
近いうち叔父さんと紡もお見舞いに来てくれるみたい。
一緒に住んでるから心配かけただろうな...
ちゃんと謝らないと。
「お父さんにお願いあるんだけど・・・」
「なんだ?」
ライブハウスにRe:vale活動休止のお知らせをしてもらえないか頼んでほしいとお願いした。
来てた人たちも気にしてるだろうし...
万はいなくなったけど、怪我治ったら活動再開するからと。
「わかった。明日にでも行って来るよ」
自分で行けたらいいんだけど、入院してるから行けないし。
こういうのは早めに知らせた方がいいと思うし。
(万がいなくなって暇になったな・・・千も全然来ないし。携帯の意味・・・)
叔父さんと紡もお見舞いに来てくれたし、友達や色んな人がお見舞いに来てくれた。
でも、やっぱりいつも会ってた2人に会えないのは寂しい。
夜になるとお父さんが必ず来るようになった。
「今日は客人連れて来たぞ」
「お客さん?」
(ニヤニヤして、何か怪しいな・・・)
「こんばんは・・・」
「百!?」
「七桜さん、怪我大丈夫ですか?体調は?どっか痛いとこはないですか?欲しい物は?俺、すぐ買ってきますよ!」
「百、とりあえず落ち着こう」
「百瀬、質問しすぎ」
お父さんは面白がって笑ってる...
いや、笑ってないでここに百がいることを説明してくれ...
「お父さん、何で百連れてきたの?」
「今日ライブバウス行ってきたんだよ。七桜に言われたから」