第24章 万の失踪
「こうなるってわかってたから教わってたのもあるんだろ?」
「そんなこと・・・万1人に任せて悪いと思ってたし、負担減らしたいって思ってたよ。それに、お父さんにも言われたから。まぁ、後のこと考えてなかったわけではないけど、うちはそうならないようにしたかってもん」
「嘘だよ。ちゃんと手伝ってくれてたもんな。それが役に立つなら俺も嬉しいよ」
「万は凄いよ。全部1人でやってたんだから。万はこれからやりたいことするんでしょ?絶対出来るから、頑張ってね。応援してるから」
離れるのは辛いけど、ずっとじゃない。
そう思って精一杯の笑顔を向けた。
「ありがとう。久々に笑った顔見られたな。泣いて甘えてくれるのも可愛いけど、笑ってた方がもっと可愛いよ。少しだけ離れるけど、きっとすぐ会えるから。その時は笑って会おうな」
その後も色々話をして、またねと病室に戻った。
次の日、何か嫌な予感がして万の病室まで急いだ。
着くと...すでに姿を消した後だった...
「行く前に言ってくれてもいいじゃん・・・」
そこにいるはずの姿がなく、誰もいない病室で座り込み涙を流した...
名残惜しくてしばらく万の病室にいると、お父さんが探して迎えに来てくれた。
「ここにいたのか。ほら、部屋戻るぞ」
「万、本当にいなくなっちゃった・・・」
お父さんは泣きながら歩く私を何も言わずに黙って慰めてくれた。
「そのうち、絶対会えるから心配するな」
ただ、それだけ言ってくれた。
「最近、千斗見てないけど何してんだ?」
「わかんない・・・連絡しても返事ないし」
本当何やってんだろうな...
「九条といたって本当か?」
「うん。だから万はいなくなったんだよ。お父さん、何か知ってるの?」
「面識あるわけじゃないけどな。業界じゃゼロと一緒に仕事してたから有名だし、知り合いにゼロと仕事してた奴もいる。ゼロがいなくなってから、ゼロを超えるアイドル作るっておかしくなったって聞いたな」
「千も、うちも誘われた。断ったけど」
「ま、それで正解だろう。デビューするなら事務所は慎重に選べよ。音晴のとことかな」
叔父さんが立ち上げるにしては早くない?
知らないだけで、早い段階から設立はしてるのかな。
そういうことは本当、何も知らないもんな...
叔父さんも確かツクモで働いてたはず...