第24章 万の失踪
数日後、頭の傷と骨折の診察で病室から出たついでに、万の部屋に寄ってから帰ろうと思った。
長くかかった診察を終えて、万の部屋に入ると万が辛そうに泣いていた...
(もしかして・・・九条連れて来ちゃったの?)
「万、もしかして・・・千、来たの?」
万は何も答えてくれないけど、そうなんだとわかった。
「ごめんね・・・また防げなかった・・・千の事、ちゃんと見てあげれてたら・・・ごめんね」
「七桜が悪いわけじゃないんだから、謝るのはやめよう。それに七桜だって入院してるんだから、千が何してるかわからないだろ」
「そうだけど・・・万はやっぱりいなくなっちゃうんでしょ?うちは、万がいなくならないようにしたかった・・・例えRe:vale辞めたとしても、いつもと変わらず一緒にいたかったのに・・・」
「大丈夫だよ。また会えるだろ?」
「そうかもしれないけど・・・うちも一緒に連れてって!ほら、うちは元々存在しない人物だからいなくなっても未来に影響ないし、記憶の通りに進むでしょ?」
「バカなこと言うなよ!七桜は存在しない人物なんかじゃない。今この時代をちゃんと生きてる。七桜がいなくなったら、千や百くんはどうなる?家族は?七桜がいることで変わってる未来も存在してる。わかるよな?」
「でも、万と離れるなんて嫌だよ・・・」
「うーん、そうだな・・・新しい携帯番号は教えておく。でも、しばらくは会わない。会えるようになったら俺から連絡するよ。七桜は記憶の事もあるから話せる相手は必要だろ?」
「電話ならいつでも話してくれるの?しばらくってどれくらい?」
「そうだな・・・俺が仕事して落ち着くまでかな。七桜はしっかりしてるけど、無茶もするから。記憶を1人で抱え込むのは大変だろうし、今まで誰にも言えなくて苦しんだだろうから。でも、絶対誰にも言うなよ?」
「ありがとう」
「これからは俺は助けに行ってあげられない。話し聞いて一緒に考えることはできるよ、友達としてね。デビューは千と岡崎さんと一緒に頑張って。応援してるから。あと、俺の部屋にある名刺とか必要な物は置いてくから。七桜に任せることになるけど、手伝ってたし大丈夫だよな?」
俺がいなくなっても大丈夫、上手くやれるよと泣いてる私を万は慰めた。