第24章 万の失踪
ここ数日、あんなに毎日来ていた千がまったく姿を見せない。
記憶と同じになるんじゃないかと心配になる...
万がおかりんと一緒に病室にやって来た。
「岡崎さんがお見舞いに来てくれたぞ」
「体調はいかがですか?怪我の具合は・・・」
おかりんも心配してくれているんだろう...私の怪我を見て悲しそうな顔を見せた。
「こんな状態ですけど、思ってたより酷くないんですよ。骨折だって自然に治りますから」
「そうですか・・・」
それから、おかりんはデビューの話しを白紙に戻したいと申し訳なさそうに話した。
「こんな状態だし、仕方ないですよ」
「力不足で申し訳ないです・・・」
治らない怪我をしたわけじゃない...
「怪我が治ったら、またライブ再開させます。今はこんな状態だからなんですよね?」
「七桜、岡崎さん困らせない」
「だって、せっかく声かけてもらえたのに・・・これで終わりなんて悔しいじゃん!再開したら、また見に来てください。その時、見て感じた物でもう1度判断してもらえませんか?」
「やはり女の子はしっかりしていますね。では、連絡お待ちしています。その時またお話ししましょう。社長は僕が必ず説得してみせますから」
「ありがとうございます」
おかりんはお大事にと帰って行った。
「デビューは岡崎事務所、なんだな?」
「そこ普通に聞くんだね・・・」
「いや、違うならまた見に来てなんて言わないだろ」
「まぁね。ねぇ・・・千、最近来ないんだけど・・・」
「俺のとこにはもちろん来てないけど・・・千が七桜のとこに来ないなんて珍しいこともあるもんだな」
「大丈夫かな・・・連絡しても携帯見てないみたいなんだ」
「何かあるのか?」
いくら記憶の話しをしたとしても何が起るかは言えないよね。
「ちょっと気になることあるだけ」
「俺も連絡してみるよ。七桜が寂しがってるって言えば飛んで来るさ」
「嘘は止めてよ!ちょっと心配してるだけだし」
「はは、悪い。でも連絡は入れとくよ」
「うん・・・」
本当、千は何してるんだろう...
九条に会ってないと思いたい...
でも、未来はそう簡単に変わってくれないんだよね。
九条とのことも避けることができない出来事なのかな...
(万にもこの先のこと早めに聞いてみないとな・・・)