第2章 柱合会議
青空の広がった美しい庭の真ん中に深聡が神楽鈴を手に立っている。
その光景が一つの美しい絵のようで柱たちは不思議な感覚に囚われた。
「千聡。」
「はい、姉様。…本日は貴重なお時間をいただき恐悦至極でございます。産屋敷様とご家族様、鬼殺隊柱の皆様の無病息災を玉依 深聡が祈祷させていただきます。短い時間ではありますが、皆様に心穏やかなる時間をお届けいただければと思います。」
千聡はお館様たちの方は身体を向け深く頭を下げた。
閑静な庭の鈴の音が響き渡る。鈴の音色に合わせて深聡が優雅に舞う。
皆、その姿を食い入るように見る。
その舞は見る者の心の深い傷をほんの少しだが癒す。
そんな優しく包まれるような心地にさせた。
「皆さま。ご観覧ありがとうございました。」
千聡の声で皆ハッとした様に瞬きをした。
「いかがでしたでしょうか?皆様。」
(すげェ……。何だったんだあの舞はァ…身体も軽くなってるぜェ。)
実弥は自身の身体の変化に驚いた。
「とても…とても良い舞であった。こんなに感動したことは初めてだ。」
悲鳴嶼の感極まった声が聞こえ、そちらを向きギョッとした。
「ひ、悲鳴嶼さん。」
いつも涙を流している悲鳴嶼だが、今日は比ではない量の涙をを流していた。
「世界とはこの様な景色なのだな……。」
悲鳴嶼の言葉に一同が驚愕する。
「おいおい、悲鳴嶼さん。あんた派手に目が見えたとでも言うのか?」
「あぁ。深聡殿が舞を舞っている間、初めて光を感じた。」
悲鳴嶼は感慨深そうに呟き口元に笑みを浮かべた。
「これが、この舞の効果なのかな。」
お館様の声に続いて視線がそちらに向く。
「私も久しぶりに青空を子どもたちの顔を見せてもらったよ。」
お館様は嬉しそうで泣きそうな表情を浮かべた。