第2章 柱合会議
「…怖いかァ?」
実弥がおぶわれている深聡に声をかける。
「??…いえ。」
深聡はキョトンとして答える。
「手ェ…握りすぎて血が通ってねェぞ。」
深聡は実弥の首に腕を回して右手で左手首を握っているのだが、左手が言われた通り、血が通わず真っ白になっていた。
「怖くはないのですが、この後不死川様たちの上司の方に会うので緊張しているのかもしれませんね。」
そう言いながら深聡は握る手首を入れ替えた。
「心配するなァ。あの方はお優しい人だァ。悪いようにはならない。」
実弥の声色に深聡は絶対的な信頼を置いているのだと感じる。
「全ては神のお導きですので、我々は全て受け入れる所存ではありますが、そう言っていただき安心致しました。」
「………少し速度を落とした方がいいかァ?」
「えっ……。」
「やっぱり手に力が入りすぎてんぞォ。」
今度は右手が血色悪くなってきていた。
(昨日今日会ったばかりの奴におぶられるのは、やっぱり抵抗があるみてェだなァ…。)
背負っている間ずっと感じていたが、深聡は身体が強張っていた。
そして、極力実弥に触れないようにしており、かなり不安定な状態だった。
(この状態だとコイツ途中でへばっちまうなァ…。)
どうするかと実弥は考えを巡らせる。
「……あの。」
「どうしたァ?」
「もう少し近づいても大丈夫ですか?」
深聡も限界だったのかおずおずと尋ねる。
「あァ。無理せず体重かけろォ。」
「ありがとうございます。」
ギュッ
深聡は両肘を抱えるように実弥にしがみ付いた。
「っ!!」
背中に感じる体温と柔らかい感触に実弥はたじろぐ。
(や、柔らかけェ…!……って俺はァ何考えてんだァ!意識するな!)
実弥は頭の中で素数を数えながら背中から意識を逸らしていた。