第2章 柱合会議
「…疲れてはないだろうか?」
義勇は走りながら千聡に問いかけた。
「はい。冨岡様が気遣って下さってますので、疲れておりません。」
千聡は穏やかな口調で答える。
実際に運ばれている人にしか分からないが、義勇は上下左右の振動を極力行わないようにし、肩と膝裏を抱く手も強く握らないことにより千聡に不快感を感じさせない様にしていた。
「冨岡様。」
「どうした?」
「昨夜は、何故私が以前会った者だとお分かりになったのでしょうか?」
「……声。…声が、心地良かったから覚えていた。
……なので、昨夜も同じ声だったので分かった。」
「そうだったのですか!」
「あぁ。……ありがとう。」
「??」
義勇の突然のお礼に千聡は頭にハテナマークを浮かべる。
「貰った香袋のお陰でよく眠れた。」
「本当ですか!お役に立てたようで嬉しいです。」
千聡の声が弾み、義勇はその声の耳あたりの良さにムフフと笑った。