第10章 新婚旅行(K.A)
プロの仲居さんたちの鬼撤収の中、「先に入ってて」と彼女が言うので部屋の露天風呂に向かった。
夜は少し気温が下がってほてった身体を冷ます。浴衣を脱ぐと、期待して勃ち上がりかけている我が分身。
落ち着け、落ち着けと他の事を考えて鎮めさせた。
ゆっくりお湯につかる。背後からの建物の薄明かりはあるものの、ほとんど月灯りだ。なんて明るいんだろう。
彼女の気配で振り向くと、タオルで前を隠しながら片手には冷酒の乗ったお盆を持ってやってきた。
風呂のふちに腰掛けお盆を受け取る。
「隠さなくていいのに…」
「だってこんなに明るくて…ほら、ちょっとあっち向いてて」
素直に言うことを聞くと、洗い場でかかり湯をして戻ってきた。
俺の左にゆっくりと入ってくる。
「う、わぁ…気持ちいい…」
「さ、どうぞ奥さん」
ガラスのおちょこを渡し、冷酒を注ぐ。自分にも手酌で注いだ後一緒にゆっくりと口をつける。
口には冷たいけど喉を通るとかあっと熱く感じる。すぐに酔ってしまいそうだ。
「…おいし」
彼女が俺の肩に頭を乗せた。俺は彼女の背に手を回し抱き寄せた。
「はあ、幸せだ…」