インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第20章 身を焦がす想いに氷とシャワー【side真波】
「さんくちびる真っ青ですね。
でもおいしそうだなぁ……」
「えっ……一口食べる?」
「そっちじゃないですよ。
でも食べます!」
「食べるんじゃん。
あーーーんして、なんちゃって」
かき氷をすくって真波の目の前に持っていくと、真波は真っ赤になって固まった。
「早く食べてよー。
嬉しくないの?」
「超絶嬉しいです」
いちごのシロップで真っ赤に染まった真波の口に違う色のかき氷を放り込む。
「さん……舌出してください。
たぶん真っ青ですよ」
クスクス笑う真波に向かってべーっと舌を出すと、とつぜん両肩を掴まれ、真波の顔が近づいてくる。
大きくて、綺麗な瞳だなーとは何となく思った。
もう少しで唇と唇が触れ合うところで花火がバーーーンと上がった。
我に返ったは、
「ちょっと、何しようとしてんの!」
と、真波を突き飛ばした。
「いや、おいしそうだったから。
今しなきゃもったいないと思って」
てへと笑う真波には心臓がうるさく鼓動し始めるのを感じていた。
花火を並んで座って見ていると、終盤に差しかかった頃、の頭上にぽつりと何か降って来た。
「あれ?何だろう」
「まさか、花火の燃えカスでも当たりましたか?
これだけ離れててそれはないですよねー」
機嫌よくニコニコ笑う真波の上にもぽつり、ぽつりと水滴は落ちて来て、次の瞬間ザーッと一気に雨が降って来た。
花火は最後まで見れたのか、中止になったのか分からなかったが、
「こうなっちゃったら、仕方ないね。
花火もほとんど見れたし、帰る?」
周りにいた人たちもとっくにいなくなっていた。
「うん……てさんその恰好……!」
の身体はびっしょり濡れ、黒い浴衣は透けて身体の線をくっきりと浮かび上がらせていた。
「下着……着けてたんですね」
「コラコラ」
をガン見しながら言う真波をはたこうとすると、真波はその手を掴み、自分の方へ引き寄せ、強く抱きしめた。
濡れた身体が二枚の布越しに密着し、体温を分け合う。