インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第20章 身を焦がす想いに氷とシャワー【side真波】
途方にくれていたの手を引いてくれたのは……
「真波くん!」
「さんこっちです!」
手を引かれるままにその場から離れ、半ば走るくらいの勢いで屋台の通りまでふたりはやって来た。
「ここまで来ればとりあえず安心……かな?」
「え?」
「こっちのハナシです。
ではさん、せっかくだからふたりでも一緒にお祭り見て回りませんか?
あっ、ケータイの電源は切っといてくださいね!」
この日一番の笑顔を見せる真波に断れるわけもなく、
「うん、でも急いで歩いて暑くなっちゃったね?」
と、返すと
「じゃあ、あそこのかき氷食べましょう!
何味がいーですか?」
と、目をキラキラさせて訊いてくるので、
「ブルーハワイ」
と答えると、真波はスタスタ買いに言ってしまった。
が周りの人々が何だか少なくなっていることを感じていると、青と赤のかき氷を持った真波が戻って来た。
「もうすぐ花火が始まりますね。
先に場所移動しますか?
ちょっと小高になってる丘の上から見る花火は絶景なんすよー」
「丘の上って、登るのにますます汗かいちゃうじゃない。
でも花火見たいもんね。
行こうか」
丘の上まで辿り着くと、真波が少し溶けかかったかき氷を差し出してきた。
「ハイどーぞ」
「ありがと」
人がまばらな丘の上で、ふたりで草の上に座り込んで花火を待ちながら、かき氷をシャリシャリ食べる。