インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第18章 ハンターチャンス【side荒北】
「その……ありがと!
やっぱり荒北って優しいよね」
そう言ってにっこり微笑むの瞳は暗闇の中でいつもより黒目がちに潤んでいて、今まで荒北が見たどんなものよりかわいらしかった。
再び理性と戦うはめになった荒北は、の頭をぼんっと撫でた。
「だからァ、オレは優しくねーっつってんだろ。
好きな女の望みのひとつさえ叶えてやれねーとしたら、それ終わってんだろ」
そっか、荒北って私が好きなんだっけ……はそのことを改めて実感し、胸がうるさく鼓動するのを感じていた。
「前も言ったが返事はいつでもいい。
お前がオレのものになる日まで、それまで辛い時に都合よく頼ってくるだけでもいい。
ただお前がオレを選んだら、その時は容赦しねェぜ。
何が起ころうと、誰が何と言おうと、もう一生離さねェ。
覚悟しとけヨ。
オレは狙った獲物は絶対ェ逃さねェ野獣だからな」
「容赦しないって口説くのに使う言葉?
荒北センスおかしいよねー」
はいつものように笑って躱してしまったが、そのことを少しだけ後悔した。