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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第18章 ハンターチャンス【side荒北】


は顔に一気に熱が集まるのを感じた。

「そ……んなことさせられないよ……
私、重いし」
「分かってる。
重くてもいいから、さっさと乗れ」

分かってるんかい!と思いながら、はそっと荒北の肩に手を添えた。
荒北がピクッと反応する。

「途中で落としたりしたら、承知しないからね!」
「するかバーーーカ」

恐る恐るは脚を差し入れ、荒北の背におぶわれた。

「じゃあ、行くぞ」



「それにしても荒北って東堂くんも真っ青のキザ男だったんだねー。
カンタンに女のコおんぶしちゃうなんて」
「っせ。あいつの名前出すんじゃねーヨ。
後カンタンにやってねーから。
誰にでもこんなことするわけねーだろ……お前だけだ。
その……楽しみにしてたんだろ、花火」

瞬間、一発目の花火がパーーーンと打ち上がった。

水色の涼しげな花火でありながら、が見た荒北の耳は真っ赤に染まって見えた。
は急に恥ずかしくなり、荒北の背中にぎゅっとしがみついた。

「あーあ、始まっちゃったじゃない。
とろとろ歩いてるからよ。
ほら、いそいで」
「お前、ほんっとにかわいげねーーーな!」
「でもキレーだねー。
川岸まで行けば、もっとよく見えるのかな?」

のんきにはしゃぐを背負って歩きながら、荒北は理性と戦うのに必死で花火どころではなかった。

夢にまで見た柔らかい肌が、小さな白い手が、布越しの脚が、背中に密着してやがる。
こんなおいしいチャンス、コイツが一生かけてモノにしたい女じゃなかったら、絶対ェ逃さねーんだが。



「もしかして、着いた?」

そこは人もまばらに拓けた川岸だった。
色とりどりの花火が次から次へと打ち上がっていく様子が見える。

荒北はこのオレが本能を押さえ込むとはな……と自身を心の中で誉めながらをゆっくりと解放した。
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