インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第17章 納涼祭へキミと行きたい!
新開が言った。
「それにしてもセラの浴衣姿がこうあっさり見られるなんて、もったいない気もするが、眼福だなぁ。
昨日セラを祭りに誘ったかいがあったよ」
は戦慄した。
昨日?!
私とお祭りに行くの断ったのは一週間前じゃん!
新開くんに誘われるか、定かじゃなかったっていうのに誘われるのを信じて断ったってこと?!
そんなに私と行くの嫌だったわけ?
「じゃあ、私たち、花火の場所取りに行くから。
ま、あんたたち頑張りなよ」
「はい!」
せっかく合流したのにもう別れちゃうし……
去っていくふたりの後ろ姿を見つめながら、は小さな孤独を感じていた。
「では、オレたちも行こうか。
どこに行きたい?」
「下駄で歩き疲れたらすぐ言えヨ」
「その時はオレがおぶってあげますよー」
いつも通り優しい三人の前で、ひとりサガっているわけにもいかないな……とは笑顔を作った。
四人が連れ立って祭りの雰囲気を楽しんでいると、本格的に夜のとばりが降りてきた。
それに伴い、人もだんだん増えてくる。
和太鼓のやぐらを中心とした周りには、盆踊りを踊る人たちがたくさん集まっていた。
ぼーっと踊る人間を眺めるに、
「さん踊らないんすか?
そういえば歌はたくさん聴いても、踊り付きのは無かったような……」
「そういえばそうだな。
さん、キミが美しく舞う姿を目に焼き付けさせてはくれないだろうか?」
「ちょーしに乗って歌まで歌いだすなヨ」
どこかわくわくした様子でを見つめる三人には後退りした。
「踊らない!
それより、えーと、お腹減った!
後私、金魚すくいがしたいっ」
「!任せてくれ、オレたちが必ずエスコートしよう!
キミがしたいことは何でも叶えてやる!
ハッハッハ」
「相変わらず食い意地張ってんなァ。
浴衣もパンパンのくせに……」
「そんなことないですよ。
浴衣も他の誰よりさんに着てもらえて喜んでると思います。素肌なら、なおのこと!」
は何とか踊らされる危機から解放された。