インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第17章 納涼祭へキミと行きたい!
祭りの当日。
約束通り早めに神社へとやって来た東堂は浮き足立っていた。
「それにしてもさんは一体どんな格好で来るのだろうか……?
……って……」
東堂は仰天した。
「荒北?!
なぜお前がここに?!」
「ボクもいますよー」
罰の悪そうな荒北とにっこり微笑む真波がすぐ側にいた。
「こ……これは悪い虫どころではない!
さんとふたりきりのデートのはずが……」
「誰が虫だよ、ボケナス。
悪ィがふたりきりにはさせないぜ」
「オレもじゃっかん不本意ですけど、まあさんを楽しませるの最優先でいきましょう」
「おまたせー。
久し振り……って訳でもないか、電話で話したもんね」
響いた脳天気な声に三人が光の速さで振り向くと、黒地にピンクの花柄がところどころにあしわられた浴衣姿のがにっこり笑って立っていた。
「孫にも衣装だネ」
そう言いながら、荒北はの綺麗に結われた頭をぼんっと叩いた。
特に神も仏も信じちゃいねェが、こんなかわいい生物がこの世に存在するなんて奇跡だヨ。
ああ、今すぐかっ喰らいたい。
こいつの頭はたくことで我慢するか……。
「ちょっと痛いんだけど。
それにその言いぐさ!
荒北って私が女のコだって分かってる?!」
荒北は焦った。
だめだ、怒らせてこっちの自制心を保つつもりが、そんな上目遣いで睨まれたら……
真波もぼんやり感動に浸っていた。
さんがかわい過ぎて目の前が霞むなぁ。
この浴衣姿が見られたから、オレもう思い残すことはないや。
あっ、でも……
「さん、オレの為にかわいい浴衣着て来てくれてありがとうございます。
ところで中はどうなってるんですか?
下着は着けてるんですか?」
「はああ?!
褒めついでに変なこと訊かないでくれる?!」
荒北は呆れ返った。
全く思ったまんま喋ってんじゃねーよ。
逆に思ったこと1パーセントも伝えられないオレも重症だが。
つーかオレのにセクハラすんなヨ。