インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第17章 納涼祭へキミと行きたい!
真波くん?東堂くん?
違う……知らない番号。
「…………はい」
「あーもしもし、チャン?」
「あ……荒北?!」
「突然悪ィな。
番号は誰から聞いたか言っとくと……」
「セラでしょ!」
「いや、新開だ」
「どうして新開くんまで知ってるの……もう、わけ分かんない!!」
誰から聞いたか言ってくれるだけ、常識人だな、と思いながらもは頭を抱えた。
「それで、インターハイ途中リタイアの荒北くんが、何の用かな?」
言っちゃまずいかなーと思いつつも、番号が箱根学園に全体的に知られ過ぎていることに少しイライラしたは口に出してみた。
荒北は特に気にした様子もなかった。
「相変わらず、かわいーことのひとつの言えねェのな。
まあいい。
用事ってのはその……アレだ。
今週末に何があるか知ってるか?」
「もしかして、納涼祭り?」
「そうそれだ。
よかったら一緒に行かねェか?
ホラお前、チョコバナナとか、金魚とか、食いたいだろ?」
「電話なのが残念だよ、殴れない」
「オレも残念だヨ」
「まあいいわ、お祭りは、行きたかったし」
「本当か?!」
「でもどうせなら皆で行こうよ!
ていうかそれしかないんだよね。
たった今、ふたりと約束しちゃったから」
「ふたりって、東堂と真波か?!」
「うん、ごめんねー」
荒北は軽く後悔した。
ちっ、ぐずぐず迷ってないで、もっと早く誘えばよかった……
脇目も振らずに定めた獲物にまっしぐらに喰らいつくはずのオレが本気のあまり、二の足踏んでる間に先越されたってワケか……
「仕方ねェーな。
けどこれ以上ぜってェ増やすなよ!
問題児が三人もいるのに、これ以上増えたら、まじ収集付かなくなるからな」
「誰が問題児だっ、こんなに控えめで歌も上手いのに」
「それかんけーねーだろ」
お前は間違いなく問題児だヨ、オレにとってはな。
こんなにもオレの心をかき乱して、掴んで、ぐしゃぐしゃにしたと思ったら、また拾い上げてとんでもねェ不良娘だ。
だから……きっと元ヤンのオレと合うはずだ。
そうだろ?
「じゃ、土曜日にな。
祭りに興味はないが……楽しみにしといてやるぜ」