インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第17章 納涼祭へキミと行きたい!
電話は切ったと同時にまた鳴り出す。
東堂が言い忘れたことでもあったのだろうかと思った。
「東堂くん?
さすがに一日に二回もかけてこなくてもいいと思うけど……」
「えっ東堂さんって一日に二回も電話かけてくるんですか?」
電話の主は真波だった。
「真波くんか……」
「さん、こんばんは」
いつも通り、ふわふわした柔らかい真波の声。
でもにはどこかとげとげしく感じられた。
「どうしたの。
めずらしいじゃない。
真波くんから電話なんて、あの時の呼び出し以来だねー」
東堂と間違われた上に、東堂が日頃からに電話しまくっていることを何となく察し、少し不機嫌になった真波だったが、かつての呼び出しのことをが覚えていた為、気を取り直した。
「あの時はオレのお気に入りの丘の上まで来てくれてありがとうございます。
あの時話したこと、覚えてますか」
「うん……覚えてるよ」
そう、は真波に直球で告白されたのだ。
その後、別のふたりにも告白されたとはいえ、忘れるはずはない。
「じゃあ、それを踏まえた上で、また呼び出しです。
今度の土曜に夏祭りがあること、知ってます?
よければオレと一緒に行きませんか?」
は困った。
「うーん、いいよ……
でも、東堂くんも一緒でもいい?」
「え?それはちょっと……」
「今ちょうど東堂くんにも誘われてオーケーしちゃったところなんだよね。
いいじゃない。
ふたりより、三人のほうが楽しいよ、そう思わない?」
思わねーよ、と思った真波だったが、逆にこれはチャンスかも知れないとも思った。
「東堂さんツメが甘いですね。
ふたりきりで行くことまで約束しておけばよかったものの……
でもそのおかげで助かりました」
「助かった?」
「こっちのハナシです。
仕方ないから東堂さんが一緒でもいいっすよ。
では土曜日、楽しみにしてます」
そう言うと、真波は一方的に電話を切ってしまった。
が土曜日は何を着ていこうか?
確か浴衣があったはず……と思案していると、またまた電話がなった。