インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第16章 インハイスタート!
は心の中で静かに謝った。
ごめんね、きっと傷付けたね。
もう少しだけ、この居心地の良い時間を皆で過ごしたいの……
だけど、もうすぐきっと言うでしょうね。
私の選ぶひとは……たぶんもう、決まってる。
会場からの帰り道、セラとふたりになったところで、はさっそくセラにたしなめられていた。
「……あんた、ありゃーないわ。
相変わらず残酷なことするね」
「何のこと?」
「話って三人からひとり選ぶってことよね?
そんな大事な話を匂わせておいて保留にするなんて……」
「そう?
あの場でひとり選んだ方が、他のふたりにとっては残酷でしょ。
これは優しさだよ。
真波くんも、私のこと優しいって言ってくれたよ!」
「そーゆーことじゃないと思うのよね。
優勝できなかったっていう現実を、あんたに突き付けられるのは、あのひとたちにとって一番きつかったはず」
「……私は……歌でしか自分を伝えられない。
然るべき時がきたらちゃんと選ぶよ。
てかセラはどうなの?
その……新開くんと終わった後、話したの?」
「何で新開くんが出てくるのか分からないけど、カレは誰が選ばれても面白いねって言ってたよ」
「話したんだね」
「それがどーしたの?
私も同意見よ。
がひとりを選ぶところが早くみたい!
やじうま根性で悪いけどっ」
「やじうまじゃなくて……セラは親友だよ、ずっとね」
「!って私のこと、友人と思ってるかさえ怪しいと思ってた!」