インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第3章 問うことなかれ、それは恋か?
あんな女、他にいねーよ。
見たら一生忘れねェ。
とはいえ案外近くに住んでる気もすンだよな。
あの日すげーラフな格好だったし……
まあこれもろくな根拠のねェ、カンだが。
荒北が考え込んでいると、ふたりのやりとりを聞いていた真波が口を開いた。
「あのー、おふたりの言ってるその女のひとって歌とか上手かったりしましたか?」
「ア?歌って何だよ?」
「歌?」
「いえ、何でもないです。
まさか……ですよね――――……」
「声は聴けずじまいだったが、きっととても可愛らしい声で喋るのだろうということは確信できるぞ」
「まァ――な」
自信ありげに言うふたりに
「で、東堂さんと荒北さんはその女のひとが好きなんですね?」
と真波は踏み込んだ。
「ちげーよ、別に。
ただガン付けられたから、何ていうか気がかりなだけだ」
「オレは好きだぞ ハッハッハッ
オレの隣にふさわしいのはあのコだと、一目見て心をささげた!!」
荒北はチッ……開き直ってんじゃねーヨ 東堂、といまいましく思いながら再び雑誌を読み始めた。
真波は
「やっぱ 東堂さんはすごい人みたいだ……」
と感心していた。