インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第16章 インハイスタート!
「特に真波くんに至っては一体何をしてたわけ?
いてもいなくても同じじゃない」
本心と裏腹に、私の天の邪鬼は止まらない。
セラが私を突き飛ばした。
「言っていいことと悪いことがあるでしょ!
あんたってほんと、損な性格してるわね……皆違うのよ……このコは……」
「だーっ相変わらずひねくれてんなァ」
「ハハ、素直じゃないな、さん」
「ちゃんと分かってますよ。
どうやらオレたちはさんの心を掴む勝負ができていたようですね。
でもちょっとだけ、オレには本気で言ってます?」
「な……なんで分かるの……」
「バァカ、その紅い頬、泣き出しそうな目!
言葉なんていらねーくらいだ」
「浅い呼吸に、ぎゅっと握りしめた小さな両手……
オレはさんを好きになった男だからな。
キミの本当の気持ちをいつでも汲み取ってみせると決めているのだ」
「さん、本気でひどいこと言ってたとしてもそれはそれで萌えるけど……違うんだろうなー。
なんとなく分かるや」
「ちゃんは実はシャイな女のコだったりするのかな」
「シャイとかゆー次元じゃねーよ、コイツの場合はァ」
「まあ、ねぎらいの一言をもらうのは最終日にとっておくとするかー!
最後はクライマーがキモとなるステージだからな!
いいところを見せられる!」
「さん、このインターハイの間にオレの本気見せますよ。
今日の東堂さんと荒北さんに負けないくらい、さんの心を揺さぶってみせます!」
本当に泣き出しそうになっている私に皆はどこまでも暖かく、追い打ちをかけまくる。
「まー言いたくないなら何も言わなくていいってことヨ。
オレはちゃんと分かってっから」
ぶっきらぼうに言う荒北のトドメの一言で、涙がこぼれる寸前だった私は後ろから現れたつんつん頭に救われた。
「ここにいたのか、お前たち。
ホテルに行く時間だ」
「おう、寿一」
「分かった福ちゃん、今行くよ」
「では、さん、残り二日間、存分に楽しんでくれたまえ。
これだけは覚えていてくれ……キミが感じる感動の、ほんの一部分にでもなれるなら、オレはこの上なく嬉しい」
「オレがこの舞台で活躍できたら、今度こそ抱きしめさせてくださいねー」