インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第16章 インハイスタート!
一日目の結果は……三チーム同着だった。
すごい……ゴール近くで観てたけど、壮絶な先頭争い。
何かひとつの要素でも欠けていたら、三校が足を並べる奇跡はなかっただろう。
本当に、自転車に乗ってる時は皆別人みたいに生き生きしてるんだから……
そんなことを思いながら、ぼんやり夢心地で表彰式を眺めていたら、渦中の表彰された人たちがやって来た。
表彰された人たちっていうか、真波くんと、東堂くんと新開くんと……荒北が。
セラが、嬉しそうに手を振る。
うん、まあ、やって来るよね……でも、ちょっと待って!
三人に告白されてから、まだまともに会話したことないよ……?
荒北に至っては、今朝告白してきたわけだし……
どうすればいい?
どんな顔して話せばいいのか、解らない……
今までこんな気まずい、逃げたいって思ったこと、ないかも!
「で、私たちに何を言って欲しいわけ?」
目を反らしながら私の口から出てきた言葉は、かわいげのかけらもないものだった。
「ヒュウ!
ちゃん、セラ……オレたちひとまずやったぜ」
表彰台では信じられないくらい堂々としていた東堂くんがためらいがちに口を開いた。
「その、一日頑張ったオレをねぎらって欲しい」
「どーだったんだヨ、お前は。
間近でオレたちのトップ争いを見て」
「が……頑張ってたのは分かるけど、三チーム同着でしょ。
仲良しごっこでもしてるつもり?
私はあなたたちに二位など遥か後方から寄せ付けず勝って欲しかった」
「あっ、ばか!もー」
セラ……そうだよね、自分でもそう思う。
どうして心から感動した!って一言が素直に言えないんだろう。
言えないのはいつものことなんだけど、皆に私を誤解されてると思うと、すごく嫌な気持ちになる……
言いたいのはこんなんじゃないのに。