インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第14章 オーディエンスをいくら敵に回そうが
プルル……
「巻ちゃん!
オレはやると言ったらやる男だったのだ、ワッハッハッ」
電話にでた巻島はいつもの東堂のテンションには慣れていた。
「いきなり何ショ、インハイでの山岳勝負なら……まだショ」
「それは大前提だが、オレは今日さんに告白した!!
これで思い残すことなく、全力でインハイに臨める!!」
「さんて誰だよ。
もしかして、去年から騒いでたインハイ会場にいた女?」
「そうなのだよ巻ちゃん!
たった一回言っただけのことをよく覚えてくれていた!
さすが我が生涯のライバル!」
「関係ねーっショ。
三年になってから、以前より東堂からの電話が減ったと思ったら、いつのまにかカノジョができてたとは……
おめでとうショ、東堂。
オレはファンの女からひとり選ぶのかと思ってたが……まあ、機会があれば紹介してくれ」
「さんがオレのファン?!
それは考えただけで胸がおどるな!すばらしい。
しかし、察しの通り違うのだよ。
さんはオレが本気で走っているところも、一度しか見てないし、その頃はオレに興味もなかったと思う。
だから、その次の二度目こそは、彼女の胸に焼き付くくらい、劇的に頂っぺんをとりたいのだよ!
巻ちゃん!お前を倒してな!
今のオレは何だってできる気分なのだ!
巻ちゃん大丈夫か?夜は眠れてるか?
一日練習した後にはちゃんと……」
「分かったっショ、母親かお前」
「母親でも何でも構わんよ。
巻ちゃんと万全の状態で戦う為なら、オレは何でも構わない」
巻島は、その全てがさんってコに見せる為の行動にも通じてんだろうな……と思った。
「よっぽど、そのカノジョに囚われてるみたいだな、そんだけ好きなら、別れる心配も当分ないショ」
「いや、まだ付き合えてさえいないぞ?
将来的にはカクジツだが」
巻島は脱力した。
「……お前どんだけそのコのことが好きなんだよ……」
「ワーッハッハ!知りたいか?
例えば、カノジョの苦しみに触れることができたのなら、それほど嬉しいことはない!
例えば」
「分かったっショ!
その告白がきっと実るといいな」
「ありがとう巻ちゃん!
応援してくれるのだな!
やはりお前はオレが認めた生涯のライバル!
ロードだけでなく、話の上でも通じ合っている!
その証拠に……」
「だから!もう切るっショ!」
