インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第13章 澄んだ夜空に、青く、誓った
逆に訊いてきたに、真波はへらりと笑って答えた。
「いやー今までの経験からして、また解ってもらえない可能性があると思って」
「……分かった、分かったっ!
でも、ちょっと待って欲しい。
いきなりそんなこと言われても、心の整理が……
真波くんのことは絶対嫌いじゃないし……スキ……だけど……」
「分かりました。
あのふたりのこと、気になってるんでしょう?」
はあたふたと慌てた。
「いや……そんなことは……」
真波は告白したのは自分だというのに、にっこり笑ってに提案した。
「インターハイが終わったら、返事を訊かせて下さい。
それまでに決めて下さい。
さんの気持ち」
「うん……」
は恥ずかしそうに半ばうつむいて応えた。
「ねぇ、歌ってくれませんか?
今度は初めて逢った時の、あの歌の続きがいいな……
限りなく澄んだ大空を見上げるような、あの歌が……」
「いーよ……」
は軽く息を吸い込むと、歌い出した。
「ーーーどうして君はいつだってどこからか湧く勇気で風を斬り
当然のように僕を包み守ろうとするの?
このとても温かくて広い腕の中で増すばかりだった孤独は消えていたーーー」
少女もひとしずくの涙を流しながら、それを聞いていた。
「きれいな声のひとだね、山岳……
私のキズ付いた気持ちはこれじゃ癒されないけど、山岳と同じように諦めたくない!って、新たに思えたよ……」
ひとりの少女の存在になど全く気付かないまま、歌い終わったに真波は言った。
「そう言えば、この前あなたと同じくらい魅力的な人物を見付けたんです。
坂の上にはそういう出逢いがある人生みたいです。
オレ、そいつにも、誰にでも、きっと勝ちますから……さんの応援がなくてもですけど、あれば必ず出来ますから……見てて下さいね……」