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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第12章 見越したぞ、チームメイトでライバルよ


「そうだったのか。
オレはてっきりお前がオレたちにムダな気をつかって、感情を押し殺しているのだとばかり思っていたよ」

「バァカじゃない?
誰がてめーらに遠慮なんかするかヨ。
オレが考えてるのはチャンの笑顔が失われないことだけヨ」

どこか吹っ切れた様子の荒北に、東堂が高らかに言い放った。

「うむ。わかるぞ荒北!
さんもオレのような、話せば楽しい、見ていても楽しい美形に好かれるのは、悪い気持ちがするはずがないからな!
それに引き換え、お前には自転車しかないし、その上ライバルが女子人気を二分するオレたちとあっては、引け目を感じてしまうのもいた仕方あるまい!」

すかさず新開が口を挟んだ。

「尽八のどこが女子に人気あるって?」

荒北はふっと笑って、そう言えばあいつはオレには自転車だけじゃねェって言ってくれたっけなァ……と思い出しながら宣言した。

「オレはひとつのことに執着したら、絶対食らい付いて離さねーぜ?
それが自転車に関してだけじゃねェってことを存分に思い知らせてやるヨ!東堂!真波!」
「望むところだ!
それでこそ荒北靖友だ!ワーッハッハッハッ」
「負けませんよ、荒北さん、東堂さん」

新開が少し心配そうに言った。

「おめさんら……言わせたオレもオレだが……インハイ直前のこの大事な時期にそんなライバル宣言して大丈夫か?
ないとは信じてるが……チームの結束にヒビが入ることはないだろうな?」

東堂が自信たっぷりに応えた。

「するわけがないな!
さんはレース観戦も好きだ。
地元開催のインハイは観に来ると約束してくれた!
ならば好きになってもらうためには、何がなんでも優勝しかあるまい!!」
「告白すンなら、優勝したそのタイミングがベストかもな」
「そうっすね。
楽しみは後にとっておくのもいーですね」

そう言いながら、真波はひとり、決意を固めていた。

すみません、東堂さん、荒北さん。
オレ、決めちゃったんです。
だって想いが溢れすぎて、もうオレひとりの胸に押し込めておけないくらいだから。
オレは今夜、あの丘の上で、さんに会って、そして……


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