インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第12章 見越したぞ、チームメイトでライバルよ
翌日、に電話をかけたことなど、おくびにも出さない真波は練習を終え、部室で着替えていた。
「時に、真波よ、お前、好きな女子などはいるのか?」
前回と変わらぬ、あっけらかんとした口調で尋ねる東堂。
「とっくに分かってるんじゃないですか?」
東堂の目をまっすぐ見つめ返す真波。
「オレはもうずっとさんしか見えてないです。
オレが見つけた頂上の景色を二番目に見せてあげたいのはさんだけだし、他の誰にも渡したくないって思うんです。
そこで、オレに歌を聴かせて欲しいって思うんです!」
「ほう、まるで既にさんがお前のものであるかのような言い方だな」
「そうなりますよ、もうじき。
東堂さんと荒北さんがつまらない意地を張ってる間に、オレは先に行かせてもらいます」
少し離れて聞いていた荒北が、反応した。
「ンでオレが出てくんだよ。
誰も意地張ってなんかねーっつーの。 あんな高飛車な女、声が良かろーがオレはごめんだね」
「分かってますよ。
口ではそんなこと言いながら、本心では虎視眈々とさんを狙ってますよね?
さんを見る荒北さんの目、ロードに乗ってる時と同じ、獣のそれですよ」
「そうだったのか?」
黙って聞いていた新開も会話に加わってきた。
「尽八と真波がちゃんに惚れてんだろうなってことは何となく感づいてたが、まさか靖友まで?」
「どうなのだ荒北!
今ここで認められぬ程度の覚悟なら、オレに勝つことなど到底叶わんな!
はっきり言って、戦うに値しないと言えるだろう!」
「っセ、バァカどもが!
じゃーてめーはどーなんだよ、東堂!
チャラチャラしやがって、てめーの幻の女子ファンとチャンがどう違うっつーんだヨ!!」
「もちろん、違う!
オレはさんが好きだ!
愛してる!」
「なっ……愛してるゥ?!」
「ヒュウ!」