インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第11章 ナンパ師から、守れっ
「さんはオレのです。
ちょっかいかけないでもらえますか」
真剣な表情の真波。
「は?!
オイオイ、こんなガキが一丁前にこのオレを挑発してくるとは……こいつ、身のほど知らずもいいトコだが、度胸あるな!」
くるりとを振り返ると、は真っ赤に頬を染めて、うつむいていた。
「ちょっと待てよ、何だよ、その反応は?!
ちゃん……キミに男がいないのは調査済み……だって本気だから、調べずにはいられなかったんだ!
嘘だよな?
コイツの言ってることなんか……」
「さんはオレのカノジョです。
出逢ったその日から、オレは、ずっと彼女の歌声に……いや彼女をつくる全てに捕らわれ続けて夜も眠れないけど、それを不幸とは思わない。
本気なんです」
は真波の告白にびっくりしていた。
なんなのこいつ……チャラ男も真っ青のイケメンゼリフ吐いてる。
それも砂糖まで吐きそうな……
チャラ男がこんなセリフ言ったら、本当に吐いちゃう。
でも真波くんだと……か……っこいい……かも。
てか薄々感づいてたけど、私がすき……なのかな?
「だめだ。
てめーがいくら口八丁並べ立てても、ちゃんが認めるまで、オレは信じねェ!
ちゃん、どうなんだっ?」
恐る恐る見つめてくるチャラ男と、決意したまなざしで見据えてくる真波のふたり分の視線を、は受け止めた。
「そうだね。
私は真波くんのもの……だよ」
真波は緊迫した世界が華やいで、全てが祝福してくれるかの様な錯覚に陥った。
さん、あなたはたった一言でオレの全てをさらっていく。
本当にすごいや。
生きててよかった。
全身全霊で、あなたを、見初めてから、つっぱしってきてよかった。
東堂さん、荒北さん、スミマセン。
オレの想いの強さが、あなたたちのそれを遥かに上回ってたってコトです。
さんはオレがもらいます!