インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第10章 ハコガク潜入作戦
「大丈夫?
ファンにキミの制服が欲しいって言うの?」
「問題ないな!
さんの為なら、オレは例え火の中、水の中……!」
はドン引きしながらも、東堂のファンなら安全だろうし、使えるものは使わせてもらおうと思った。
「あ……りがとう。
お礼は……そうだね。
何かして欲しいこととか、ある?」
「して欲しいこと?!」
電話の向こうで東堂は急に黙りこんでしまった。
「そんな深く考えなくても、ぱぱっと決められないの?」
「そ……その、何でもいいのか?!
聞いて嫌いになったりしないか?!」
「何でもいいわけないし、聞いて嫌いになることは十分有り得る」
「そ……そうか。
じゃあさんの……手料理が食べたい」
「…………家には上げないよ」
「分かってる!
今度レースの時にでも差し入れを持ってきてくれれば、オレはものすごく嬉しい」
は少し考えてから言った。
「それでもいーけど。
どうせならキミの学校まで届けに行ってあげる!
今夏休みでしょ?
潜入しやすいはず。
せっかく制服あるしね!」
「?!
見付かったらキミが大変な目に遭うぞ!
そんな危険なマネはオレとしてはさせられないな。
いくらウチの制服を着ていても、キミのような目立つ生徒が本当はいないことくらいすぐ分かるだろうし」
「別に私、目立つとこなんてひとつもないし」
「無自覚か!」
「とにかく!
東堂くんたちが普段どんな環境で勉強したり、部活したりしてるのか知りたいの……だめ?」
「!
もちろんいいぞ。
キミの正体がばれない様、オレが全力でサポートする!」
いきなり乗り気になった東堂にはしてやったりとほくそえんだ。
「わーい。
楽しそう。
でも先生に絶対見付からないようにしなきゃね。
万一見付かっちゃったら、私が、勝手に紛れ込んだ不審者ってことにしてね」
「キミに責任を取らせるつもりはないぞ。
まあ、絶対見付からない様にすればいい。
先生からも……あいつらからもな」
「あいつら?」
「いや、何でもないよ」