インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第10章 ハコガク潜入作戦
インターハイも直前に迫った真夏、は家で新曲について考えていた。
「この曲は若い青春の歌だから、いつもの姫みたいな衣装でなく、シンプルな服で歌いたいな。
たぶん高校の制服とかがいいんだろうけど……卒業と同時に高校の制服はばっさり捨てちゃったんだよね……セーラーでかわいかったし、もったいなかったかも。
そうだ、セラなら制服とってあって、貸してくれるかも知れない。
訊いてみよ」
はセラへ、電話をかけた。
「ぷっ……さあ、制服は
確かにとってあるけど、私のサイズがあなたに入ると思うの?」
は反射的に電話を切った。
すると、すぐにの電話が鳴った。
「よしよし、セラめ、ヒドいこと言ったと思って謝りの電話をかけてきたか。出てやろう」
プツ……
「もう……特別なんだからねっ!」
「な……何が特別なのだ?!
さんにとってオレは特別な存在……そういう風にとっていいのか?!
さんがオレを特別……そう思ってくれるのなら、オレにはキミの全てを受け入れる用意がすでにあるっ!!」
電話の向こうで、勝手にテンションを上げて騒ぐ男に、は辟易した。
「東堂くん……どうしてひとの番号知ってるの……それに耳元でギャーギャー煩いしっ」
「む、そんなこと、もはやどうでもいいじゃねーか。
番号なら、セラさんが快く教えてくれたぞ」
「あの性悪女、ひとの個人情報何だと思ってるわけ?!
さっきも相談事バカにした態度とるし、しばらく話したくないっ」
電話の向こうで、東堂が息を詰めたのがには分かった。
「友人に対してそんな暴言を吐くのはよくないな!
しかし相談事とはその……どんな内容だったんだ?
言いにくければ仕方ないが、差し支えなければオレで力になれるかも知れないし、ぜひ教えて欲しいのだが……」
「力になれたら変態だから。
舞台衣装として、女子高生の制服が欲しかったの」
「そうか。
ではオレがファンの女子から調達してやろう」
なにこのひと、今何て言った?とは混乱した。