インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第9章 月と星を違えても、枯れない想いがふたつ
荒北は思った。
くそっ……何だこの天使……いっそさっきの橋本との会話で、お前のことがすきだとお前が気付いていたら、お前の気持ちも何もかもムシして、強引に奪っちまえたかも知れねーのに……
荒北は平静を装って、の頭をぼんっと叩いた。
「バカなこと言ってないで、おうち帰んな。
もう暗くなってきたしヨ。
ホラ、オレが送ってってやるから」
「そんなこと言って、送り狼になる気じゃないでしょうねー」
「……ばれたか」
「はああ?!」
「冗談だバァカ。
誰がてめーみてェな丸太襲うか。
行くぞ」
公園から出ていくふたりの死角には、その女、橋本がじっと立っていた。
「私のことは送ってなんかくれないのに、そのコは、何なの?」