インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第8章 沖までキミを引っ張りたい!
はぼんやりした意識の中、東堂の声が遠くで聞こえていた。
東堂くんが何か真剣に語ってる…………
「だめなこと……なんてない……よ…………」
あれ?クラクラする……かも……
「さん?!!」
ただならぬ声に、少し離れて言い合いをしていた荒北を真波も気付いた。
「オイ……バカ!」
「さん!!」
は意識が戻った時、右腕を東堂、左腕を真波に抱きかかえられ、荒北にカオを覗き込まれていた。
「大丈夫か?
意識はっきりしてるか?
あいうえおーって言ってみろ」
「い……えるに決まってるでしょ!
大げさなんだよ!」
荒北たちの前で、不覚にもおそらく貧血を起こしてしまったコトを悔やみながら言うと、
「頭はブジみたいだな」
荒北に頭をポンと撫でられ、
「足とか大丈夫か?
つったりしてねェか?」
質問された。
頭がブジって……気遣うフリしてばかにしてない?
が恐る恐るカオを上げ、荒北を見やると、荒北の眉は下がり、まるで今にも泣きそうな、心配でたまらない、という表情をしていた。
がふだんと違う、からかいの一切ないその表情にドキッとすると、東堂が、
「とりあえず、陸に戻って救護室へ行こう」
と言った。
「へ……いきだよ、一瞬だけクラっとしただけだから」
「何言ってるんですか。
だめに決まってます。
今度こそこの浮き輪に乗ってください!」
無理やり浮き輪にはめ込まれ、真波に引っ張られ、4人は陸まで戻った。
「軽い貧血ね。
少し休めば、問題ないでしょう。
この暑さだから、熱中症とかにも注意してね」
これが救護室に連れて行かれたに出されたドクターの診断だった。
真波は東堂に命令され、他のメンバーに知らせに行っていた。