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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第6章 荒北カタルシス


「ねぇ……もしかして今からアキバまで行く……なんて言わないでしょ?

ムリだもんね……ムリなのかも……私……」



「ハッ、友達いねーチャン。

安心していいって言ったろ?

ふつーアニメの店やカラオケの個室でわざわざ音楽聴いたりするか?」



「ん……あんまりしない……かも……」



「じゃあ最後に行ったネカフェが一番ニオうな……どこ店だ?」

「○○店だけど……」

「オレが電話かけて訊いてやるヨ。

サイフとかじゃねーし、落とし物として届いてるかも知れねェ」



プルルルル…………



「あ――スミマセン

昨日そちらを利用した者ですけどォ。

ハイ……あーピンク色の…………」



電話を切る荒北。



「たぶん、あったってヨ」

瞬間は瞳を輝かせた。



「あったって本当なの?

もしうそを言ってるんだったら……」

「うそなわけねーだろ、疑り深いのはかわいげないぜ?

ほら行くぞ」



荒北は平静を装いながら、心の中で叫んだ。



ほんとはかわいくて、かわいくて、たまんねーヨ!

ちっこくて、表情がくるくる変わって、今すぐ食べちまいてーよ!!







「あったぁ!」



戻ってきた音楽プレーヤーを手にとって喜ぶに店員がニコニコ告げた。



「よかったですね。

男性の方にピンクのプレーヤーと電話で訊かれた時は多少不思議でしたが、連れ合いの方だったんですね」



「はい!

ありがとうございます」



おいおい連れ合いの意味解かってんのかァ?

連れ合いってゆーのはな……


荒北はひとりでもやもや考えていた。




先ほどのコンビニの駐車場まで戻ってきたふたり。



「荒北くん……ありがと。

何か私にお返しできることはないかな?」



少し落ち着いたようすのが微笑んだ。



店員に向けた笑顔のほうがよく笑ってたよーな……

だよな、オレ今日だけでもコイツをずいぶん怖がらせちまってるはずだしな……

そう思いながら荒北の口から出てきたのは、



「ペプシ。

ペットボトルじゃない方」



だった。



「そんなのでいーんだ。

ちょうど私ものど乾いちゃったよ。

すぐ買ってくるね」
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