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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第6章 荒北カタルシス


「思うって何だよ。

おとといのことくらいちゃんと覚えとけよ。

ったく情けねーな」



なんでオレはこう、優しいコトバってのをかけてやれねェんだ?



東堂だったら驚くような解決法を提示するのかもしれねェし、真波だったら心に寄り添って慰めの言葉をかけるのかもしれねー。







「あんたと違って忙しくて忘れちゃうのよ」



などとぶつぶつ言っていたが、荒北は思った。

オレにできることと言ったら……



「あ――安心していいぜ。

オレが必ず見つけてやる」



は思いがけない申し出にびっくりした。



「いや……そんな……私の探し物に付き合わせるわけには……」



「ンなコト言ってる暇があったら探そーぜ。

昨日最初に行ったところはどこだ?」



「あ……きはばらのアニメショップ……」

「次は?」

「ひ……とりカラオケのおみせ」

「……次は?」

「…………ネカフェ」

 

「チャン……」

「な……何よ?」

「おめー友達いねーならオレがダチになってやってもいいぜ?」

「あわれむな!」



が恥ずかしそうに叫んだ。



「てか、アンタも私の歌聴きに来てたってことは多少なりぼっちのオタなんじゃないの?」

「ちげーよ。

ん?オレがライブハウスに来てたってコトなンで知ってんだ?」



はしまったというカオをした。



1年前のインハイ会場で、一目見て忘れるわけないでしょ、それがライブハウスにいたら、こっちは歌うどころじゃなかったよ、ハコガクくん……



などと言うわけにもいかず、が言い逃れを考えていると、



「ああ!あのおしゃべりヤローから聞いたのか?」



ひとりで納得しだしたので、



「そ……うよ!」



とも合わせておいた。



荒北はなぜが赤くなっているのか不思議に思ったが、何も塗っていない頬に紅が差した様子がものすごくつぼに入ったので、深く追及するどころではなかった。
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