インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第5章 純粋でない男の決意は人知れず
あなたをオトすのを、あなたに応援されるって変だけど……というかさん鈍感すぎてやばいけど、きっと気付かせてみせる!
「でも、さん、今の調子じゃオレのコトかけらも意識してくれてないですよねー」
「意識してるよーかわいい弟みたいなもんかなー」
やっぱり……がっかりした真波だったが、のカオが真っ赤に染まっているのに気付いた。
「…………で、真波くん。
いつ手は放してくれるのかな?」
「……すみません。
そのカオが見れたので、今は放してあげます。
でも次あなたの手を取ったら、その時はもう二度と離しません」
そう言って解放した真波に、はほっとした表情を浮かべた。
「離さないなんて困るなーじゃあ手を取られないようにしないと!」
おどけて言うだったが、そこに確かな動揺の色が含まれているのを確信した真波は
「その代わりどこへだって連れてってあげるし、どんな景色も最初に見せてあげますよ。
オレの脚も、視界も、あなただけのものです」
とたたみかけた。
はまだ紅が残る頬でぎこちなく笑った。
「ありがとう。
真波くんてキケンどころかとっても親切だったんだね。
じゃあ私、このゲーム集中して極めたいから、もう帰るね」
真波は別に親切からじゃない、というかここで帰したくない!と思い、とっさに言った。
「いやもうちょっとさんのプレイを見せて欲しいかなー。
ほらさんの即死見てたら、どうやったら死なないか、逆に見つかるかもしれないし!」
はベンチから立ち上がると、腰に手を当てて真波を見下ろした。
「帰るー!
キミ親切かもしれないけどやっぱムカつくやつだねっ。
ばいば――い」
そう言うとは真波に背を向けて歩き出した。
手を振り去っていくを見つめながら、真波は反省していた。
何か怒らせてしまったみたいだ。
オレと気持ち通じ合ってると思ったのに……
やっぱあのコは一筋縄じゃ行かないなー……でも次こそは必ず……
このゲーム、さんに近づくツールとしては役に立ったな。
オレがしたいのはやっぱり……
「よしっ、また登りに行くか!」